症状によるアルツハイマー病の重症度 医療法人社団 川瀬神経内科クリニック

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 症状によるアルツハイマー病の重症度

1.認知機能の障害なし                             前のページに戻る

  • ●正常
  • ●主観的および客観的機能低下は認められない

 5~10年前と比較して職業あるいは社会生活上、主観的および客観的にも変化はまったく認められず支障をきたすこともない。

2.非常に軽度の認識機能の低下

  • ●年齢相応
  • ●物の置き忘れを訴える喚語困難

 名前や物の場所、約束を忘れたりすることがあるが年齢相応の変化であり、親しい友人や同僚にも通常は気がつかれない。
 複雑な仕事を遂行したり、込み入った社会生活に適応していくうえで支障はない。
 多くの場合、正常な老化以外の状態は認められない。

3.軽度の認知機能低下

  • ●境界状態
  • ●熟練を要する仕事の場面では機能低下が同僚 によって認められる。 新しい場所に旅行する事は困難

 重要な約束を忘れてしまうことがある。はじめての土地への旅行のような複雑な作業を遂行する場合には機能低下が明らかになる。
買い物や家計の管理あるいはよく知っている場所への旅行など日常行っている作業をするうえでは支障はない。
熟練を要する職業や社会的活動から退職してしまうこともあるが、その後の日常生活のなかでは障害は明らかとはならず、臨床的には軽微である。

4.中等度の認知機能低下

  • ●軽度のアルツハイマー型痴呆
  • ●夕食に客を招く段取りをつけたり、家計を管理したり、買い物をしたりする程度の仕事でも支障をきたす

 買い物で必要なものを必要な量だけ買うことができない。誰かがついていないと買い物の勘定を正しく払うことができない。自分で洋服を選んだり着たり、入浴したり、行き慣れている所へ行ったりすることには支障はないために日常生活では介助を要しないが、社会生活では支障をきたすこたがある。単身でアパート生活している老人の場合、家賃の額で大家とトラブルを起こすようなことがある。

5.やや高度の認知機能低下

  • ●中等度のアルツハイマー型痴呆
  • ●介助なしでは適切な洋服を選んで着ることができない。入浴させるときにもなんとかなだめすかして説得することが必要なこともある

 家庭での日常生活でも自立できない。買い物を一人ですることはできない。季節に合った洋服が選べず、明らかに釣り合いがとれていない組み合わせで服を着たりするためにきちんと服をそろえるなどの介助が必要となる。毎日の入浴を忘れることもある。なだめすかして入浴させなければならない。自分で体をきちんと洗う事ができるし、お湯の調節もできる。自動車を適切かつ安全に運転できなくなり、不適切にスピードを上げたり下げたり、また信号を無視したりする。無事故だった人がはじめて事故を起こす事も有る。大声を上げたりするような感情障害や多動、睡眠障害によって家庭で不適応を起こし医師による治療的かかわりがしばしば必要になる。

6.高度の認知機能低下

  • ●やや高度のアルツハイマー型痴呆

(a)不適切な着衣
寝まきの上に普段着を重ねて着てしまう。靴紐が結べなかったり、ボタンを掛けられなかったり、ネクタイをきちんと結べなかったり、左右間違えず靴をはけなかったりする。着衣も介助が必要になる

(b)入浴に介助を要する。入浴を嫌がる
 湯の温度や量が調節できなくなり、体もうまく洗えなくなる。浴槽への出入りもできにくくなり、風呂から出た後もきちんと体を拭くことができない。このような障害に先行して風呂に入りたがらない、嫌がるという行動が見られる事もある。

(c)トイレの水を流せなくなる
 用をすませたあと水を流すのを忘れたり、きちんと拭くのを忘れる、あるいはすませたあと服をきちんと直せなかったりする。

(d)尿失禁
 時に(c)の段階と同時に起こるが、これらの段階の間には数ヶ月間の間隔があることが多い。この時期に起きる尿失禁は尿路感染やほかの生殖器泌尿器系の障害がなく起こる。この時期の尿失禁は適切な排泄行動行ううえでの認知機能の低下によって起こる。

(e)便失禁
 この時期の障害は(c)や(d)の段階でみられることもあるが、通常は一時的にしろ別々にみられることが多い。焦燥や明らかな精神病様症状のために医療施設に受診する事も多い。攻撃的行為や失禁のために施設入所が考慮されることが多い。

7.非常に高度の認知機能 低下

  • ●高度のアルツハイマー 型痴呆

(a)最大限約6語に現定された言語機能の 低下
 語彙と言語機能の貧因化はアルツハイマー型痴呆の特徴であるが、発語量の減少と話し言葉のとぎれがしばしば認められる。さらに進行すると完全な文章を話す能力はしだいに失われる。失禁が見られるようになると、話し言葉はいくつかの単語あるいは短い文節に限られ、語彙は2、3のみに限られてしまう。

(b)理解しうる語彙はただ一つの単語となる
 最後に残される単語には個人差があり、ある患者では“ハイ”という言葉が肯定と否定の両方の意志を示すときもあり、逆に“いいえ”という返事が両方の意味をもつこともある。病期が進行するにしたがってこのようなただ一つの言葉も失われてしまう。一見、言葉が完全に失われてしまったと思われてから数ヶ月後に突然最後に残されていた単語を一時的に発語することがあるが、理解しうる話し言葉が失われたあとは叫び声や意味不明のぶつぶつ言う声のみとなる。

(c)歩行能力の喪失
 歩行障害が出現する。ゆっくりとした小刻みの歩行となり階外の上り下りに介助を要するようになる。歩行ができなくなる時期は個人差はあるが、しだいに歩行がゆっくりとなる。歩幅が小さくなっていく場合もあり、歩く時に前方あるいは後方や側方に傾いたりする。寝たきりとなって数ヶ月すると拘縮が出現する。

(d)着座能力の喪失
 寝たきり状態であってもはじめのうち介助なしで椅子に座っていることは可能である。しかし、しだいに介助なしで椅子に座っていることもできなくなる。この時期ではまだ笑ったり、噛んだり、握ることはできる。

(e)笑う能力の喪失
 この時期では刺激に対して眼球をゆっくりとうごかすことは可能である。多くの患者では把握反射は嚥下運動とともに保たれる。

(f)昏迷および昏睡
 アルツハイマー型痴呆の末期ともいえるこの時期は本疾患に付随す代謝機能の低下と関連する。