お問い合わせ

0256-33-9070川瀬神経内科クリニックへ繋がります。

認魂レポート

第13回テーマ : 「認知症の人の意思・希望をどうくみ取るか?」

参加者:
【介護職】安中希美香1)庄司俊彦3)曽根美賀子1)高橋芳雄3)田辺佑奈4)
    原島哲志3)布施良友3)安井朋6)吉田茜4)涌井利菜5)
【介護支援専門員】塚原美穂3)
【認知症地域支援推進員】力石雅博7)弥久保忠男4)
【民生委員】長谷川勝榮8)
【世話人】笹川里子9)
【作業療法士】川瀬敦士3)
【看護師】久保田明美10)坂井美和子3)田巻康弘11)西村朋美10)山本恵美12)
【薬剤師】加藤智世13)山寺忠之13)
【弁護士】中澤泰二郎14)
【医師】川瀬裕士3)

介護職・・・以下「介」    介護支援専門員・・・以下「CM」
薬剤師・・・以下「薬」    作業療法士…以下「リハ」
看護師…以下「看」      弁護士…以下「弁」
世話人…以下「世」      認知症地域支援推進員…以下「地域」
民生委員…「民生」

1)田上町デイサービスセンター康養園(以下「デイサ」)
2)特別養護老人ホーム おおじまの里(以下「特養」)
3)川瀬神経内科クリニック、ディケア樫の森・かわせみ、本成寺安心住宅かえるハウス(以下「川瀬」)
4)はあとふるあたごグループホーム三条(以下「GH」)
5)小規模多機能ホーム うめこの郷(以下「小規模」)
6)介護老人保健施設いっぷく 2番館(以下「老健A」)
7)燕市分水地区地域包括支援センター(以下「包括」)
8)三条市民生委員児童委員協議会(以下「協議会」)
9)(公社)認知症の人と家族の会 新潟県支部長岡地区(以下「家族」)
10)ショートステイつつじガーデン三条裏館(以下「SS」)
11)介護老人保健施設 ケアホーム三条(以下「老健B」)
12)田上町訪問看護ステーション(以下「訪看」)
13)メッツ嵐南薬局(以下「薬局」)
14)中澤泰二郎法律事務所(以下「法律」)

 


 

氏  名(所属・職種)

川瀬敦士(川瀬・リハ) 司会進行を承ります川瀬神経内科クリニック作業療法士の川瀬と申します。どうぞよろしくお願いします。会の始めに院長の方からご挨拶と会の趣旨のお話しをさせていただきたいと思います。

川瀬神経内科クリニック 作業療法士 川瀬敦士 氏

川瀬裕士(川瀬・医師) 宜しくお願いします。今までにいろんなテーマをやってきて、今回は何にしようかなと話をしている中で、今回は今までと少し違うテーマになりました。今までBPSDという認知症に伴う妄想とか幻覚とかでしたが、今回は「認知症の人の意思・希望をどうくみ取るか?」。認知機能が低下していく中で、しっかりしていた時に自分の意思をはっきり表明しておいてもらって、それを基に本人の意思に添う形で最後の形を作っていくというか。なかなかどれが本当の本人の意思なのかっていうのは簡単なようで実際はつかむのが難しいと思います。またそれも変わっていくものだと思いますし、そこをどのようにくみ取っていくかというのが案外難しいのではないのかなということで。まとまった話になるのかどうか非常に不安はありますが、多くの方に来ていただいていますし、今日は専門家の方々にも来ていただいていますので、いろんな角度からこの点に関して話し合いができればいいかなと思います。宜しくお願いします。

川瀬神経内科クリニック 医師 川瀬裕士 氏

川瀬敦士 では早速今回のテーマ、「認知症の人の意思・希望をどうくみ取るか?」ということですが、初めに認知症の人の意思をくみ取り尊重することは、新オレンジプランの基本的な考え方の一番初めにも示されておりますし、また昨年6月には「認知症の人の意思決定支援ガイドライン」というものも策定されております。こういった背景からも、すでに尊重することは当たり前であってみんなが認識することであるのかなという風に思います。ただ実際に日々の支援の場では迷いや、難しさを感じることでもあると思います。例えば、症状が進行してしまって、上手く言葉で伝えられないような場合はどのようにくみ取ったらいいのか。本当に理解できているのか。介護者にとっての一方的な解釈になっていないだろうか。またその本人の意思を尊重することで、ご本人や周りの人に害が予測されるような場合はどうすればいいのか。明らかな場合はしょうがないですけども、はじめからダメと決めつけてしまっていることはないだろうか。またはご本人とご家族の意思が対立した時はどうしたらいいのか。どちらかというとご家族側によってしまいがちな僕は印象を持っていますけれども。今日は皆さんの日々とっておられる対応の成功・失敗事例などを共有して今後のケアに役立てていければと思っています。

 

本人の希望 : 働きたい

川瀬敦士(川瀬・リハ) 最初の例は川瀬クリニックの外来の看護師の坂井さんがあげてくれました。説明お願いします。

坂井美和子(川瀬・看) 認知症初期集中支援チームというものがありまして、その方の事例です。8人家族で、若い頃から頑固な性格で家族との折り合いが悪く、気に入らないことがあると自分より弱い家族を怒鳴ったりしており、家族のストレスが増しています。天気が良いと野菜を勝手に収穫して自転車で売りに行く。家族は疲弊して、何とかしてほしいということでチームの介入に至りました。本人の思い・希望を聞くと、健康なうちは働きたい。家族の思い・希望としては、怒らないで穏やかになってほしいということでした。家族の言うことにはまったく聞く耳を持たず、家族が受診させようとしても拒否していましたが、チームでの訪問時は受け入れがよく、受診を承諾して下さって、鑑別診断を受けて内服治療が開始となりました。介護保険も申請して、治療の効果もあり徐々に穏やかになって、本人は働きたいという気持ちがあったようですが、それに置き代わるものとして通所リハビリに繋ぎました。サービス利用日になると喜ばれて自ら着替えるなど楽しみにしている様子が伺えるようになり、施設では落ち着いているので泊りサービスも増やし、家族の介護負担の軽減が出来た事例です。

川瀬神経内科クリニック 看護師 坂井美和子 氏

川瀬敦士 ありがとうございます。この事例は、ご本人の希望で健康なうちは働きたい。農家をやっておられて、息子さんは2代目で継いでいるんですが、商品になる作物を勝手に収穫して売ってしまったりして、親子関係が上手くいかなくなった。だからご家族だとなかなか意思をくみ取るのは難しくなっていたんだけれども、認知症初期集中支援チームという外部の専門職が入ることによって本人の深意を別の形で受けとって、実際にデイサービスとかデイケアに行くことによって、いろんな人と社会的な交流を持ったり活発に体操とかリハビリとかをすることで結果的にうまく行った事例です。ではもう一つ、デイケア樫の森の事例です。庄司さんお願いします。

 

本人の希望 : デイサービスに行きたくない

庄司俊彦(川瀬・介) デイケアを利用される前にお試しで体験していただいているんですけれども、この方は来た時から拒否が強くて、「帰る、帰る」と言っていました。体操を午前中やったり、お昼を食べたりしていくうちに、だんだんここは楽しい良いところだというようになってきて、帰り際には「楽しかった」と言われ、現在も喜んで参加されています。仮に本人の言う通りに帰ってもらったりと、利用に繋がらない様なことがあったとしたら、それは本人のためにはならなかったんだろうなというように感じます。なので本人の希望通りに対応するのだけが良いということでもないのかなと感じた例でした。

川瀬神経内科クリニック 介護職 庄司俊彦 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございます。ご家族も最初は消極的な見立てだったわけですけど、実際に体験して、言葉で説明しても良さはなかなか分かっていただきにくいことだと思うんですよね。これは体験を先行して意識・気持ちが変わってきたというケースかなという風に思います。

川瀬裕士(川瀬・医師) 家族に「デイサービス・デイケアなどでの社会交流は認知症の予防にも良いですからやりましょう」と言っても、本人はしょぼんとしているし、家族は「この人は絶対こういうの嫌ですから本人の好きなようにさせてください、いいです」みたいなことを言う人がいて、「みんな最初はそうだけど、行ったらそれが一番の楽しみになる人がいますので」って言ってもなかなか本人にも家族にも伝わらない。何回かやっていくうちに今の例のように本当の一番の楽しみになるということがある。元々は本人の意思をくみ取っていたはずなんだけどそのままで本当に良かったのかと。いわゆる食わず嫌いですよね。食べてみたら意外と良かった。本人の意思をくむというのが果たして何なのかというのはいつも考えないといけない。本人が知らない楽しみがいっぱいあったりする。デイサービスとか介護サービス全体に悪いイメージを持っていて、仮の意思と云っても良いのかもしれないけど、よく分からないがために行きたくないと言っていたのを本当の意思としてくんでしまえば、本来この人が享受できる楽しみとか、本来自分の体や脳に良いことを受けられずに、その後の生活、人生そのものが豊かになる可能性をうばってしまうことになるかもしれない。定期的にいろんなところに行っていろんな人としゃべったり笑ったりする機会が、だいたいこういう人はないことが多いので、大きくその人の人生の色としては花開いたような感じにはなるはずですけど、その人の行きたくないという言葉、また家族の本人の意思を尊重するという考えに添っていればそこにはどうやってもたどり着かない。でも実際に良くなったということを我々も皆さんもたくさん経験しているのでそれをどう伝えられるかというところでしょうか。

 

本人の希望 : 帰りたい

川瀬敦士 ここからはこんな場面でどうしたらいいのか?ここからは皆さんにもご発言や質問をしていきながら進めていきたいと思います。帰宅願望とくくらせていただいたのですが、お二人の方が帰りたいということに関してこの場面でどう対応したらいいのかというところで。ケアホーム三条の田巻さんより例えばという形ですけれども挙げていただきました。説明をお願いします。

田巻康弘(老健B・看) 施設入所されている方には意思や希望を伝えているんですけど、家族とか施設職員が意思決定をしている場面が多いのでそこでジレンマを感じています。例えば認知症の人が「家に帰りたい」と言っても家族と職員が「いやそれは」とか「まだバスが来ないので」とか「明日帰りましょう」とか言って聞き入れられないことが多いなという風に感じています。まず施設に入る時からもうすでに本人の意思とは反対のことも、施設に入るのを承諾してくる人はほとんどいないなという風に感じていますし、施設に入った後もその人の時間、その人の生き方、人生だと思うんですけど、周りにいる家族とか施設の職員がその人の為にという口実というか思いで食事はこういう風にしてお風呂はこういう風にして何時に寝てとか決めているような気がして本人の意思とか希望をくみ取っていないなという風に感じます。

介護老人保健施設ケアホーム三条 看護師 田巻康弘 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) もう一方は小規模多機能ホームうめこの郷の涌井さんお願いします。

涌井利菜(小規模・介) 昼食後、周りの皆さんがお昼寝に入ってその方はお昼寝をされない方で、誰もいなくなった時にさみしいのか、何度も帰りたいと言います。家族からもここに来ることに関して何も聞いていないと言われ、何度も帰りたいと言います。そういう場合はどうしたらいいのか教えていただきたいです。

川瀬敦士 同じことを何度も言っていて、普段どんな説明されているんですか。言う側は介護職の方ですか。同じことを何度も言っていいのか、どんな対応をされていますか。

涌井利菜 普通に帰宅日を教えて、この日に帰りますよって。

川瀬敦士 しかしそれは理解できずに、ご本人は何度も何度も。では同じ介護職の田辺さん、いかがですか。同じように最初の田巻さんみたいにジレンマを感じられていますか。

田辺佑奈(GH・介) 私のところでも結構帰宅願望がある人がいて、夕方になると荷物をまとめて外に歩かれたりする方もいて、私も毎回同じ様に「今日は泊まる約束しているので泊まりましょう」とか、そういう対応になったりとか別に集中できる何かに誘うとか。なかなか具体的な解決法については悩んでいます。

はあとふるあたごグループホーム三条 介護職 田辺佑奈 氏

川瀬敦士 帰りたいというのをダメだと決めつけないで上手くいった事例とかありませんか。実際に例えばご家族に話をして。ずっと帰るは難しいけれども、試験的に何かをしたとかでもいいんですけれども。Iさんはいかがですか。

I氏(特養・介) 特養で帰宅願望は今のところそんなにないんですけれども、以前勤めていたところで、そういう方も多々いられて、例えばあまりにも強い帰宅願望の時は電話かけるんですけれども、職員が家族の役をして、落ち着かせるということも実際に試して、それで落ち着く人もいればそうでない人もいます。一つの手段として有効かなと思いました。電話越しなので顔は見えないんですけど、職員が息子さんなり家族の役割をして「これこれこういう理由でここに泊まるんだよ」とかそういうことで話をして落ち着いてもらうみたいな感じですかね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 笹川さんこういう風な手法、介護職って演技したり、ご家族もそうだと思うんですけど、真正直に関わっているだけじゃなかなか上手くいかないところもあるんですけど、そういう状況を聞いていかがですか。他のご家族のことでも。

笹川里子(家族・世) 芸人みたいだなと。

川瀬敦士 ありですか?なしですか?

笹川里子 ありだと思います。

川瀬敦士 原島さんいかがですか。

原島哲志(川瀬・介) うちは、サービス付き高齢者向け住宅なんですが、今住んでいる方の中にも、(入居の時に)全く聞かされずここに、「はい、今日から入居です」みたいな感じで連れて来られる方も何人かいます。正直今も帰宅願望がある方もいますし、一切帰りたいと言わなかった方も中にはおられます。ご家族ももちろん心配はしています。ここで生活していけるんだろうか、本当にずっといてくれるのだろうか。ただ本人の意思もあるので、そこはかなり職員の間では葛藤がありいろんな意見があります。家族に電話をさせるとかはこっちが負けた気がするので、勝負じゃないんですけど。電話をさせなくても安心してここで暮らしていけるように、帰りたい気持ちは十分分かるんですけどね、実際は帰れないわけですよ。なのでそういう努力はし続けます。
川瀬神経内科クリニック 介護職 原島哲志 氏

川瀬敦士 介護職魂が許さないと。では違う職種の看護師の西村さんいかがですか、今の話を聞いていて。何か思うことありますか。

西村朋美(SS・看) うちの施設でもすごく似たようなことがあるのでみなさんと同じだなと思って聞いているんですけど、この帰宅欲求って、どうして帰りたいのかという根本的なその人は何を心配して帰りたいのかというところから、どうして帰りたいんですかというところから私は始めるようにしていますね。根本的な原因がわかって私たちが解決できるような内容だとすると結構落ち着いたりすることもあるので、話を聞くというところから始めるように心がけています。

ショートステイつつじガーデン三条裏館 看護師 西村朋美 氏

川瀬敦士 力石さん大きくうなずかれていましたけど。

力石雅博(包括・地域) 例えばここにいる皆さんも同じだと思うんですよ。もうこの夕飯の時間なのに家に帰らないでなんでここにいるのかっていうことを、ちゃんとここにいる理由とかを皆さんわかって、そっちが大事だから残っていると思うんですよ。それは認知症の人だろうがそうじゃなかろうがみんな同じな訳で、そのご本人がここにいる理由っていうのをちゃんと伝えて説明できているのかが一番大事だと思います。ただ忘れてしまうのがどうしてもあるので、ご本人に分かりやすく説明するにはどうしたらいいのかとか、普段からの関わりも大事なのかなと。そうなってくるとケアプランだとかその人の介護の方針だとかをみんなが共有して同じ様にお話をその方に出来ているかとかそういうのが大事になるんじゃないかなと、その話から今思いました。以上です。
燕市分水地区地域包括支援センター 認知症地域支援推進員 力石雅博 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) 決めつけないで出来ているかってことですよね。気持ちをきちんと聞き取る努力というか。分かっていてもなかなか何度も振り返らないとできない部分かなと思います。いかがですか、田巻さん、涌井さん、このみなさんのお話を聞いていて。

田巻康弘(老健B・看) 認知症だからとか認知症じゃないからっていうのは全くその通りだと思います。うちらだって家に帰りたいというのは当たり前だから、普通のことだから、それは認知症だからどうかっていうのは全くないと思うので。老人保健施設なので、カンファレンスを重ねて、在宅に返そうという国の施策があるのでそういう話をどんどん進めていけばいいのかなという風に思いました。

川瀬敦士 涌井さんいかがですか。

涌井利菜(小規模・介) 勉強になりました。

川瀬敦士 これは以前認魂第2回に帰宅欲求でやった介護テクニックですね。(図1)これもホームページを見ていただければ載っていると思いますので。当時もやっぱり演技とか直接交渉したりとか、環境ですね、そもそも居心地の良い環境になっていないんじゃないかというようなところも話に出ましたので。どうしたら楽しく過ごしてもらえるかを考えましょう。

図 : 帰宅欲求に役立つ実践介護テクニック

<直接交渉術>

・お茶、昼食、夕食がある ・正直に伝える
・支払い済み、もったいない ・暗いので明日に~
・冷静さを取り戻してもらう ・寂しいからいてください

<演技利用術>

・空電話(泊まり予定、客帰った事確認)
・家は工事中、災害のため会社臨時休業
・思い違いを利用(スタッフを子供の友人)
・現役時代の仕事とからめて(当直願い)

<環境工夫術>

・帰る人を見せない
・短時間にする
・落ち着く環境つくり(役割、品物)

<注意転換術>

・手作業、手伝い
・散歩
・送りましょうと周囲を歩く
・マッサージする/してもらう
・話しを少し変える「ところで」「そうそう」
・反応しない(転倒リスクなどへの注意は払う)

 

本人の希望 : 水をもっと飲みたい

川瀬敦士 では4番目の事例ですが、これは小多機うめこの郷の介護職のNさん。

N氏(小規模・介) この方はサルコイドーシスのある84歳の要介護5の方です。医師より水分制限がありますが、ご本人は認知症もあり、1日のうち多い日では30分おきに水分の要求があり、1日の摂取量の話をして対応していますが、一旦納得されますがすぐに繰り返されるというところです。気分転換にご本人の好きなカラオケなどに誘ったりと日々対応しています。日中夜間問わず重度の難聴もあり、オーダーが入らず暴言暴力もあります。夜間はほとんど浅い眠りか不眠であって昼間寝ています。昼夜逆転しているような状況もあります。同じことを何度も言うという事例の方です。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございます。サルコイドーシスとあまり聞きなれない難病ですけれども、認知症ももちろんある方なんですよね。要介護5ですからほとんど寝たきりということですか。

N氏(小規模・介) そうですね、自走して車椅子で動いたりしています。

川瀬敦士 運動はご自分で自立されているんですね、車椅子で。ありがとうございます。ではいかがですか、介護職、曽根さん。何か思うこととかございますでしょうか。同じこと何度も言う方っていると思うんですよね。どんな対応をとっておられますか。

曽根美賀子(デイサ・介) そうですね。話を聞いて説得できるような言葉を自分の中で見つけて落としどころを探してはいるんですけれども、聞き入れてくれる方もいれば、ずっと言い続けている方もいれば。すみません、ちょっと解決策はでないですね。

田上町デイサービスセンター康養園 介護職 曽根美賀子 氏

久保田明美(SS・看) ご本人様は喉が渇いてお水が飲みたい飲みたいとおっしゃるんでしょうか?

川瀬敦士 水分の制限とかになると、看護職の久保田さんいかがですか。 

N氏 はい。

久保田明美 そうしますと、氷を舐めたりとか飴を舐めさせていたりとか、口の中が潤うことによって、少しでも1日の飲みたがる発言が減るかもしれないというそういう試みは何かされたのでしょうか。

ショートステイつつじガーデン三条裏館 看護師 久保田明美 氏

N氏 氷とか舐めてもらったりとか、水分量を少なくしてお渡しするんですけれども、そういう対応をしているんですけれどもまたすぐに欲しいと言って冷蔵庫がフロアにありますので、そこに来て立って倒れてしまうというようなこともあったりしまして。飲んだのを忘れてしまうんですかね。

久保田明美 塩分制限とかはされていたのでしょうか。

N氏 塩分制限もやはりありますので塩分量は極力少なくしています。

久保田明美 例えば、500mlのペットボトルをみせて今日1日何時までにこれだけだよって量を提示してあげるとかいかがでしょうか。難しいですよね。

N氏 なかなか理解をしていただけないことがありますので、何回も同じことを繰り返しているような状態です。

久保田明美(SS・看) 難しい問題だと思います。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 具体的なアドバイスが出て僕は非常に参考になっているんですけれども。弥久保さんどうですかね、気持ちの背景にはどんなことがあると思いますか。何かありますか。

弥久保忠男(GH・地域) 喉が渇いているかどうかは聞いて判断している。聞いて答えられるような状況にない。

あはとふるあたごグループホーム三条 認知症地域支援推進員 弥久保忠男 氏

N氏(小規模・介) ご自分で自走されて、いつも「お茶くれ」と言われる状況です。    

弥久保忠男(GH・地域) 「喉が渇いたんですか」って質問をしているわけではない。

N氏 「喉が渇いたんですか」ということではなかったかもしれないですね。「水分の制限があるので飲めません」から入っていっていたかもしれません。

弥久保忠男 さっきの帰宅願望と同じで、本人が何を言いたいのかとか、何を思っているのかを、ちゃんと本人と心通わせ合うところからスタートすると違う糸口が見つかるかもしれないですね。例えば私なんか喉が渇いていないんだけどちょこちょこここにあるものだから飲んでいますけど、「喉渇いたんですか弥久保さん」って聞かれたら「いや別に渇いていません」って感じなんですね。人って喉が渇いたから水を飲んでいるわけではないかもしれないしほんとに渇いているのかもしれない。ほんとに渇いているんだったらそういう対応を繰り返しするとか、喉が渇いている私を分かってくれることで安心するかもしれないし、何だか分からないけどあなたが立って動くんで私たちは対応していますよ、が繰り返されると本人にとっては何一つ満たされない可能性もあるので、本人は何を満たしたくてその行動を取っているんだろうなというところが、今日の意思・希望をどうくみ取るかに繋がっていくのかな。意外とさっきの帰るもそうだけど、帰りたいわけではないんだけれどもみたいなところもあるし、水分摂取とか本人の行動も、本人とよく話してみると、そういうわけではないので私たちが思い違いしているところもあるので。ただここには記憶障害があるので繰り返し繰り返しやることにスタッフがストレスを感じないように2回やったら交代しようね、みたいなルールを決めたりしていくとか。分かっていてもストレスがかかると思うので、その辺職員の工夫もいるのかなと思います。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 医療機関に掛かってらっしゃるんでしょうけれども。先生何かありますか。

川瀬裕士(川瀬・医師) 500mlがまず結構大変ですね。84歳で要介護5ですよね。主治医の先生に「高齢だから好きにさせて良いんじゃないですか」って聞いたら、意外と「全然良いよ」って言われるってことはないかな。食事は3食食べているんですよね。

N氏 そうですね。

川瀬裕士 食事からもそれなりに水分は入るんですよ。だから500mlって厳密に言っているかもしれないけど、たぶん600mlでもそんなに先生は怒らないとか。食事の水分量を減らせば飲水という本人が求める部分は増やせるかなとか、1回の提供量も限りなく少なくするとか。700ml800mlくらいまでOKっていうことになれば、そこはまた薬の調整も入ってくるのでここの場で話すことじゃないかもしれないけど、医師ともちゃんと連携を取るっていうのも大事。本人の今の認知機能や介護度を含めて考える。本人のQOLというか。がんの末期の人と同じですよね。命を長く延ばすことよりも本人の希望を叶える方向に少しだけシフトすることが可能かどうかってことは問い合わせても良いかなと思います。

川瀬敦士(川瀬・リハ) さっきの1日の量を見せて一緒に考えていくって、自分の意思で決めることで守りやすいかなって聞いていて思いました。理解できないかもしれないんですけれども。これはある書籍に載っていましたけれども、忙しい時に何度も声を掛けられた時に、その人が今忙しいから待ってと言わずに、ちょっと一緒についてきてよと、作業して回るのに一緒についてきてもらうんですって、この方の場合は車椅子だから難しいかもしれないけど。そうやって忙しい姿をずっと見せていると、何だったけと気持ちがおさまったりする例もあるようです。喉が渇いていない別の原因だった場合にはこういうことが効果があるかもしれません。(図2

図 2 : 参考書籍

忙しい時に声をかけられたら

→今忙しいからと「一緒にこれ、しましょうか」「手伝ってくれますか?」などと
一緒に動き回り「ところでなんだっけ」

認知症高齢者の意思の「理解」をめぐって
荒木正平 長崎女子短期大学紀要 2017

 

N氏(小規模・介) 参考になりました。ありがとうございました。

 

薬を飲みたくない

川瀬敦士 じゃあ、次ですね。つつじガーデンの久保田さんお願いします。

久保田明美(SS・看) 私は4月からショートステイのほうで働いているんですけど、認知症の方が多くて、この利用者さんは認知症で、夕食後の薬はきちっと飲んでくれるんですけど、寝る前の薬に関しては毒を盛られたということで絶対に飲まない、そのタイミングを逃すと飲めない方だったんですが、私が間違えて寝る前に配薬してたんですね。そうして夜7時くらいから戦いが始まりまして、結局夜9時になっても飲んでもらえなかったという経験がありました。今でこそお味噌汁に入れて混ぜるとかいろいろと学ばせてもらって飲んでいただけているのですが、その時はほんとに困ったので何か教えていただけたらなと思います。

川瀬敦士 普段そのタイミングさえ間違えなければ上手くいっているという例なんだけどもね。どんなお気持ちが背景にあるのかとかもいろいろと気になるところですけれどもね。過去にそういうショッキングなこととかあったのかな。どうですか、看護師の田巻さん。

田巻康弘(老健B・看) よくありますね。

川瀬敦士 よくありますか。時間帯によって、昼は良いけど夜はダメとか。

田巻康弘 そうですね、その時のその気分によってとか。

川瀬敦士 気分によってね。傾向があるほうはまだいいですけどね、ランダムだとちょっと。魔法の言葉とかありますか。

田巻康弘 ないですね。たまに崩して投薬する時もありますし、1回スキップすることもあります。そんなに命に係わるようなものでなければそんなに目くじら立ててやらなくてもいいのかなと個人的には。

川瀬敦士 大事ですね、そういうのは。2時間頑張ったんだからすごいですよね。薬剤師の山寺さんいかがですか、薬関係ですが。

山寺忠之(薬局・薬) 我々もどうやったら飲めるようになりますっていうのは正直なかなか言いにくいんですね。ただ何に混ぜても大丈夫ですということは言うことは出来るんですけれども。私たちも窓口でご家族が何かに混ぜて、言い方悪いですけど飲ませているというのを聞くと、意思に反しているということにもなっているので違和感はあるんですけど。ただ飲んでもらわないといけないものでしょうから、何かに混ぜる事はしょうがないのかなと思うんですけれども。魔法の言葉みたいなのはないです。

メッツ嵐南薬局 薬剤師 山寺忠之 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) 何に混ぜて良いとか悪いとかそういう情報も分かりやすく説明してもらえるだけでも、認知症のご家族の方はそういう体験が初めてですから。普段職場で働いている人にとっては当たり前のようなことでも。どうですか笹川さん、お薬の場面でも苦労されている話とか何か聞かれることはありますか。

笹川里子(家族・世) そうですね。認知症だというのもあるんですけど、飲んでねって言ったのを目の前に置いても忘れたり、そういう風な感じがあったり、目の前にあっても「飲んだ飲んだ」と言うのはあるようです。

川瀬敦士 困っているわけですね。加藤さんいかがですか。

加藤智世(薬局・薬) 理由が何かを聞き出すのが最優先かと思うんですけれども。薬によっては、寝る前の薬を飲むと翌朝までずっと口の中が苦かったりとか苦味を感じるとかあったりするんです。窓口で、認知症の方ではなかったんですけれども、変えてからは毎日続けて飲めるようになったという事例もあるので、認知症の方だとそういった訴えをすることが難しいので、もしお薬関連で何か私たちに相談してもらえればキーワードがわかることがあるかもしれないのでご相談いただければなと思いました。

メッツ嵐南薬局 薬剤師 加藤智世 氏

川瀬敦士 他には何かアドバイスありませんかね。

弥久保忠男(GH・地域) 薬の時だけでなくて体操とか何の拒否の時もそうですけど、基本的には薬だから薬、体操だから体操って進めずに、「眠れなくて困ること最近ないですか」とか「血圧ドキドキして心配じゃないですか」という会話から入って、その薬が何に効くかから会話で入って、「あーそうだよね、それ大変だよね私もそういう時ある。そういう時私これ飲むんだ」みたいな感じで話の流れで、そういうことに困っているんだったらこれ効くよっていう本人の気持ちに寄り添ったものを提供している、そんな感じの進め方はよくしています。すんなり飲む方はすんなり渡すんですけど、飲みにくい方はあえて薬を渡そうという気持ちで渡らないようにはしています。

川瀬敦士(川瀬・リハ) なるほど、理由が。

弥久保忠男(GH・地域) それで困っているんだという言葉が出たらしめたもの。困っているんだったらさ、みたいな。

久保田明美(SS・看) ありがとうございます。

川瀬敦士 2時間のやりとりの戦略ができましたね。

久保田明美 飲んで頂く事しか頭になかったです。

川瀬敦士 飲むことの意味っていうのをわかっている前提で渡しちゃうっていうのは。まずは理解してもらう、じっくりと。

川瀬裕士(川瀬・医師) どれくらい飲ませないといけないのかは、何の薬かによるよね。薬によってはそれはいらない、飲ませなくても良いっていうのあるけど。

久保田明美 それを飲まないと介護夜勤者さんが非常に困る大事な薬だったので。

川瀬裕士 何の薬だったんだろう。

久保田明美 不眠の薬なんですけど。

川瀬裕士 体的には、スキップした方が良い時もある。その後本当に困るかどうかは分からないけどね。絶対にそうだと思い込んでいるからとにかく飲ませなきゃいけない、私の番だからっていう思いが強くなりすぎてその差し迫った緊迫感が伝わって逆効果になっていることもあるかもしれないから。

 

被害妄想

川瀬敦士 では続いては被害妄想というくくりにさせていただきましたが、つつじガーデンの西村さん。

西村朋美(SS・看) よく利用者さんでお金を持っていないんですけれども、「お金をベッドに置いておいたんだけれども、それがなくなったんだ」とか。あと食事、朝ごはん食べているのに、食べた直後に「食べてないんだけど、なんで食べさせてくれないんだ」って言ったりとか、そういう被害的な妄想・発言される方が結構いらっしゃったりもするので良い対応方法とか、どういう風にしていったらいいかなというのを知りたいなと思いました。

川瀬敦士 次にうめこの郷の涌井さん。

涌井利菜(小規模・介) 先程言われたのと同じ様に、昼食を召し上がったのに本人は食べていないと言われた時とかですかね。

川瀬敦士 食べたのに食べていない、なるほど。どうですか、被害妄想、物を取られたとか嫉妬妄想とかいろいろありますけど、Nさんいかがですか。どんな対応を取っておられるかとか。

N氏(小規模・介) 対応ですか。お家でも何回も食べていないと言われているっていう状況があると聞いていまして、本人も施設利用の時も何回も食べたんだけど食べていないと言われて、食器を食べた証拠に置いておくとか写真を撮るとか、いろいろ知恵を絞ってしているんですけど、これは自分のじゃないとか。

涌井利菜 これは食べていないとか。

川瀬敦士 そんなことしてまで俺を騙そうとして、みたいな。

N氏 自分のではないとか、そんな感じで怒ったり。

川瀬敦士 吉田さんいかがですか。

吉田茜(GH・介) グループホームにいるんですけれども、利用者さんでご飯を食べたばっかりで、5分後に「あれ、俺食べてない」と、「俺だけ食べてないけど、なんで出してくれねえんだ」って怒られるということもあるんですけど、まず否定しないってことは一番に考えています。その方のアセスメントをしていくと、グループホームだとだいたい夕方の夕食の時間が1730とかで、家では昔は19001930とかに食べていたというのをご家族から聞いたりも出来て、そのご飯を食べる時間によってお腹が空く、空腹の訴えがあるということで、「お腹空いたんですね」ということで、補食程度にガッツリは渡さないんですけど、ちょっとした甘いものや飲み物を出してあげたりとか、その方の空腹の訴えを肯定して、「じゃあご飯炊こうか」って話をすると「それだったらいいて(それだったらしなくてもいいよ)」と終わる時もあるので、まず話を聞くっていうところからしてます。

川瀬敦士(川瀬・リハ) なるほど、夕食の時間って確かにありますよね。こんな明るいうちから夕飯を食べてなかったって思うような人はそこがズレちゃうと違うっていうのがありますもんね。

吉田茜(GH・介) 正直職員もグループホームで一緒に早めにご飯食べて帰るんですけど、結局帰ってからもご飯食べるので確かに気持ちは分かる。体重制限もしつつそこらへんは。

はあとふるあたごグループホーム三条 介護職 吉田 茜 氏 

川瀬敦士 他には何か、食べ物でもいいですし、被害妄想なので、別の物盗られ妄想とかもありますけど、何かアドバイスがある方いませんか。高橋芳雄さんいかがですか。

高橋芳雄(川瀬・介) はい、被害妄想ですね。ご本人の訴えをそのまま受け止めるのが大事な場合とそうでない場合があるとは思うんですね。自分の思いを上手く伝えられないが故に、出てきた言葉がそれだった場合もあるので。今ほど皆さんがおっしゃっているようにどういう思いでその人がその言葉を発しているのか、それをご本人に話を聞くのも大事ですし、ご家族にしっかりと背景を伺っておくのが大事になってくるのではないかと思います。ごまかすとかその場を切り抜ける技は様々ありますけども、ご本人との信頼関係が築けなくなってくるので、ご本人が安心して過ごせなければいろんな形でBPSDは出てくると思うので、そういったところにまずは考えていきたいと思います。

川瀬神経内科クリニック 介護職 高橋芳雄 氏

川瀬敦士 ご本人の気持ちを聞きとった上で成功した例とかって今思い出すところで何かありますか。

高橋芳雄 そうですね。例えば先程薬が飲みたくないとか前の話でありましたけれども。それも皆さんおっしゃったのはなるほどなと思いましたけれども、例えば今魔法の言葉は何かないのかとおっしゃったのでちょっと魔法の言葉、何言っているんだと思うかもしれませんけれども1つ言うと「これもっといい女になる薬ですよ」と。ちょっとご本人の表情を和らげて笑わせてから「はい」って渡すと結構飲んで下さることが多いです。

原島哲志(川瀬・介) 飲みますね。笑顔作ってからだと飲みますね。女性スタッフがやっていると結構拒否多いですもん。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 男性が女性に言うわけですね。

原島哲志 逆もありますけどね。

川瀬敦士 なるほど、褒められるとやっぱり嬉しいものですよね。乗ってくれている優しさかもしれませんけれども。庄司さんいかがですか。

庄司俊彦(川瀬・介) 被害妄想、何か盗られたとか、家のものにだまされてここ来たとかって言われると僕は一緒になって乗っちゃいますね。「悪いやつだね」とか「悪い嫁さんだね」とかいう風に同士になって話に合わせているうちに、ずっと続くわけでもないので。今私いるところはデイケアなので帰ることができるので1日のうちの何分かですね、繰り返すこともありますけども、そのように対応することがあります。

川瀬敦士 まさに気持ちに寄り添うというかね。

庄司俊彦 良く言えば寄り添う。

川瀬敦士 はい、いかがですか。いくつか意見は出ましたが。

涌井利菜(小規模・介) ありがとうございます。

川瀬敦士 物盗られ妄想とかあまり出なかったですが、あまりないでしょうか。結構あるものですか。物盗られ妄想って。一番身近な献身的にしている人が疑われるってよく言うじゃないですか。精神的なショックはつらいですよね、いつも頑張っている人。対応に苦慮するケースでしょうかね。

I氏(特養・介) 物盗られに関してなんですけど、自分がつい先日あったことで、入所されてすぐの方でバタバタしている時期だったんですけど、物の結構多い方でリストを作ってちゃんとやっているんですけど、それでもないと言われていたので、家族もその時来られていてそれで持っていったのではないかなというのはあったんですけど、結局そこで一番大事になってくるのは、一番最初にリストを作って何がどれくらいあるかっていうことを目で本人と確認し合うっていうのが一番有効なんじゃないかなということで。実際それで本人もあまり認知症がない方だったので目で見て物とリストで、文字で確認して渋々ですけど納得して事なきを得たということがあったので。ちゃんと本人の物のリストを作るというのは大切なんじゃないのかなという感じはします。

川瀬敦士 じゃあもともと無かったものを「無い」と言っても「最初にこのリストに載ってないよね」というようにあとで突合するわけだ、それで納得していただける方もいる。さっきの食事の写真じゃないですけどそれでも難しい人もいるんですけれども、そういうことをやって上手くいくこともあるということですね。うちのサ高住かえるハウスにもいませんでしたっけ。

原島哲志 はい、います。ざるや包丁を私が盗っていったと。私が料理するのをその人は知っているので。「借りているよ、その内返すから」と言っておいて、後日部屋の中を家宅捜索して、見つけてありがとうって返して。でも言ってくるタイミングで返さないと次の日言ってこないんですよ、覚えてないので。また言ってくるタイミングまで待っていて、言ってきたタイミングで返すという感じで。返したよって、そんな感じで終わりますね。認知症は中等度くらいの方ですけれども。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 返したことすら忘れちゃうんだね。

中澤泰二郎(法律・弁) 弁護士の中澤です。私が保佐人をしている女性で、物盗られ妄想で在宅の方ですけれども、引き出しに入れていた7万円を盗られた。1人暮らしの方です。私からすると実の子ども以上にご本人のこと一生懸命見ているであろうケアマネさんを、「泥棒ケアマネ、あいつだあいつだ」と言い出し、その内私にも飛び火して、「あいつは泥棒弁護士だ」と。私も泥棒したことになりました。警察にも行ったようです。ケアマネさんとかその家の嫁さんとかこういう思いなんだなと私自身分かりました。こんなにも一生懸命やったのに疑うんだみたいな。たぶんケアマネさんからすると自分だけではなくて私も疑われ、一緒に疑われてくれた人がいたみたいなところで、救いになった部分もあるかと思います。もっとも、結局本人があまりにも「あいつはもうダメだ」みたいな感じで、気嫌いするのでケアマネの人は交代になりました。それによってようやくちょっと収まった部分もあったんですけれども。本人はいまだに7万円を盗られたと言うことがあって、4年くらい続いているんですけれども、人によっては強固にそういう風になることがあって、嫌われた人を交代したりとかそういうところでなんとか対応していくしかないんだなっていうのがよくわかりました。本人が元気な時に家庭裁判所にも「あいつは泥棒弁護士だ」みたいなことをわざわざ言ったりもして、たぶん家庭裁判所も保佐人とか後見人はこういう苦労をしているんだなってよく分かってくれたんじゃないかと思うんですけれども。さっき弥久保さんがあんまりにも言われるようだったら、何回目かになったらタッチ交代してとおっしゃいましたが、それと同じで支援者の側も皆で思いを共有して、それでも解決策が出てこないかもしれないですけれども、そういう工夫をすることがお互いに大事なのかなと思いました。私もやりました、わざわざ本人を2階に呼んで、「あれ、ここから7万円見つかったよ」みたいなことやったことあります。その日は良かったんですけれども、でもまたすぐ言い出しました。結局何でそこまでこだわるのかは分からなかったんですけれども、そういう中でそれぞれ関わりながらやっていくしかないんだななんてことを思った事例です。

中澤泰二郎法律事務所 弁護士 中澤泰二郎 氏

川瀬敦士 なるほど、身をもって体験してね。お金じゃなくって、例えば近い人で自分のお嫁さんでも娘さんでもいいんだけど、かつて自分の方が立場が上で教える側だったくらいの人が、いつかどこかで地位が逆転してしまって、そうすると気持ちやプライドが許せなくって、気持ちのどこにも持っていきようがないフラストレーションみたいなものをぶつけてしまう気持ちも背景にあるなんてのも聞いたことがあります。だからお金だけの問題ではないのかもしれない。そういう時って悲しいかなタイミングを空けたりとか、関わる人変えたりとかやっていかないといけない、だってどうしようもない思いってありますもんね。

弥久保忠男(GH・地域) 今の話を聞いていると本来被害妄想じゃないのを本人が言っているんだけど、被害妄想に炎上させてしまっているケースもありそうだなと思って。例えば物がないんだけど、「はじめっからなかったよ」がトリガーになって、「じゃあお前が取ったんでしょ」。本人は物がないんだけどという記憶障害だけを言っていたのに火を職員が点けてしまっていたりとか。ご飯も、「ご飯食べていないよ」っていう記憶障害だけを本人が発したんだけど、「食べたじゃん、ほら」って。「私、被害にあっている」と思って妄想に発展してしまったりする。本人がそういうことを言ってくる人だからさ、代わる代わる対応しよっていうのは本人が可哀想かなって思う部分もあって、私たちが火を点けていないかな、これは本当に本人の被害妄想なのかな、被害に合わせてしまっていないか、みたいなところも探っていくといいかなと思います。例えば、弥久保によく似た人の浮気写真を「ほら」って持ってこられて、持ってこられた私は何に私をはめよとしているんだろって思うわけですね、私に浮気する記憶がなければ。「この作った証拠写真を見せて私を何の被害に合わせようとしているの」って思ったりするわけですよ。記憶がないことを前提に、証拠は出さなくてもいいのかなって思ったり。もちろん証拠が残っていることが記憶の維持に繋がるケースもあるので一概に言えないですけれども、本人が別に被害にあったと思っていない状態で被害意識をあおることは職員側としてストップさせると、意外と止まったりもします。特に物盗られ妄想だった場合とかは探している段階があるわけですよね。盗ったって言われる前に。探している段階で「何か探していた?」って聞くと物盗られ妄想に発展しなかったりするケースも結構あります。「財布がないんだけどさ」、「何か買うの」、「何も買わないんだけどさ」、「今いるの」、「今いらないんだけどさ」、「どうしてもいる?」、「じゃあいいかな」みたいなそんなケースもあったり。あとは盗られたことではなくて泥棒がいることに不安だっていって盗った盗ったっていう人もいるんですね。そういう人には昔、「これ警察への届け出書があるから、これ一緒に書こう」って言ってそれを書くために収まる人もいました。これで安心できるっていって収まる人もいました。本人が何を訴えたいのかなって耳を傾けるだけで解決したりするのかな。

川瀬敦士(川瀬・リハ) 一緒に解決してくれようという意欲をみせると気持ちが収まる部分もあるかもしれませんね。毎日一緒にいるご家族だとなかなかそうもできない部分もあるのかなと想像できるんですけれども。

力石雅博(包括・地域) 弥久保さんが言ったのって周辺症状への対応だけに目がいきがちだけれども中核症状の物忘れだとか判断力だとか実行機能の対応もしっかりしないと職員側・介護側がそういった周辺症状を生み出してしまう。そういうことなんですかね。

弥久保忠男(GH・地域) そうですね。ありがとうございました。

 

食事の問題

山本恵美(訪看・看) 食べたことを忘れるに関して、訪問看護ステーションですけど、1人暮らしの方ですごく活動的な認知症の方で、自転車に乗ってコンビニまで行ってお菓子を買ったり、お弁当を11回取りに行ってそれ以外は自転車でぐるぐるぐるぐる巡回している。また山を歩いて1回遭難して出口が分からなくなって見つかったという人がいて、家に入ってみたらお菓子の袋がすごいいっぱいあって買ってきて食べていて、忘れるわけではないのだけれども自分は運動をしているから食べていいと思っていたり。ヘモグロビンA1c1を測ってみたら、8とか9とかかなり高い状態だったというのがあって、管理が出来ないというケースがあったんですけど。

1 ヘモグロビンA1c(ヘモグロビンエーワンシー):ヘモグロビンA1cとは糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかをパーセント(%)で表したもの。判定の目安としてはヘモグロビンA1cが6.0%以上だと糖尿病予備軍として詳しい検査が必要となる。

川瀬敦士(川瀬・リハ) その方は自転車に乗って移動できるくらいアクティブな方なんですね。買い物なんかも全部自分でされて。

山本恵美 長谷川式2だと10点以下だったんだけど、結局内服も高血圧とか糖尿病の薬とかいろいろあったんだけど12回だったのを先生に頼んで1回にしてもらって、11回は誰かが入って飲めるようにしようとかいろいろ工夫を凝らしているところなんですけど。

2 「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS-R):認知症の可能性があるかどうかを簡易的に調べる問診項目のこと。30点満点で20点以下を認知症の疑いありとされ、21点以上を非認知症としている。

川瀬敦士 独居ですか?

山本恵美 はい。本当にアクティブで山に行って、ある時(頭に)でっかい傷を作ってきて、「どうしたんですか」って聞いたら「夜中3時くらいに山に行ったら木がぶつかってきた」。たぶん転んだんだろうなと思うんだけど、でも家にいて、アクティブなのでデイサービスとか利用することについてはたぶん本人の意図とは反していて。そうこうしている間に隣の家に行っていたりとか、果物を持ってきて車庫にいっぱい溜めてあったりとか。

川瀬敦士 認知症初期集中支援チームの対象になりそうな方ですね。どうですか、弥久保さん。

弥久保忠男 そう思いましたけど。本人だけだったりとかケアマネージャーさんだけの対応では難しいのかなって気はするので。

川瀬敦士 認定は下りている方なんですか?

山本恵美 はい。今はヘルパーさんが毎日入って、ご家族も週に1回来ています。借金が200万くらいあったり預金が全部なくなっていて通帳も本人の息子さんが管理しようってことになっていたりとか。

弥久保忠男 最初に先生が言われたように、本人の意思や希望を総合的に考えて、デイサービスとかは本人の意思や希望ではないとこっちで勝手に外さずに、本人の財産を使い果たすだったりとか健康を阻害するのは本人の意思ではないと思うんですよ。なのでその辺を総合的に考えた時に本人にどんな支援が必要かなっていうのを検討してみるといいのかなとは思うんですけど。

川瀬敦士 坂井さんどうですか。

坂井美和子(川瀬・看) 1人暮らしで命の危険を考えてみると、1人で家にいれるのかというところで、施設なのか在宅なのかっていつも初期集中の時には悩む検討のところなんですけども。

山本恵美(訪看・看) 命の危険を一番に考えるというところがまずあるんでしょうかね。

坂井美和子 命の危険、出かけて徘徊じゃないですけど家に戻らなかったりとか食事も制限なく食べていて健康も悪化してお金や財産のこともありますし、ほんとに1人で暮らせるのかどうかっていうところも。

山本恵美 近くに住んでいないご家族が、これで施設に入れてしまったら可哀そうだからとか、この住み慣れたところで過ごさせてあげたいからっていうのがあってなかなか上手くいっていない。

川瀬敦士(川瀬・リハ) まずは本人の気持ちを聞き出せる信頼関係を得られる存在の人ができるといいかなという風に思いますけどね。

坂井美和子 今現在もサービスの拒否とかある人を支援しているんですけれども、チームは多職種で構成されており、何人かで行くので結構力強くて、チームで行くと受け入れてくれるという方がいらっしゃって、そこから今信頼関係を作ってサービスに繋ぐっていうケースをやっているんですけれども、1人だとなかなか上手くいかないけれども介護職、作業療法士、看護師が関わることで上手くいくこともあるので、ぜひ初期集中か何かで対応されるといいのかなと思いました。

川瀬敦士 こういう人って説明してもサービスなんか頑固、拒否が強くなりますよね。かたくなにどんどん強くなると思いますよ。

山本恵美 訪問しても断られて今はダメだなと思って時間置いて行ったらケロッとしていたりとか。家の中や冷蔵庫の中とかもすごくって、死んだあさりとかが口が開いてすごい臭いがしたりとか、いろいろあってヘルパーさんが入ることでそういうところは改善されてきたんですけれども。

坂井美和子 大勢で行くと私の為にこんなにたくさんの人が来てくれてって。大勢で行くと拒否されるのかなって思っていたんですけど逆にすごく喜んでくださるんですよ。

山本恵美 代わりばんこに入れ替わり立ち替わりよりまとまって行くのがいいんでしょうかね。

坂井美和子 複数で。私のためにこんなにたくさんの人が来てくれてって、受け入れてくれるケースがほとんどだったのでチームってすごいなって思いました。

山本恵美 ありがとうございます。

川瀬敦士 今日はせっかくゲストに民生委員の長谷川さんもお呼びしておりますので、日頃民生委員の立場で認知症ケアに関して、今日のお話でもいいんですけれども、お感じになっていることがありましたら。

長谷川勝榮(協議会・民生) そうですね。私たちに出来ることは認知症にならないように認知症予防のことを一番一生懸命に考えて対応しています。サポーター養成講座に参加したりして日常的に我々でどんなことが出来るのかなっていうのを一生懸命話し合いはしているわけですけれども、実際に今お話しを聞かせていただく、対応していただいている方々の切実な生々しい話を聞かせていただいて、これだけ深刻なんだなというのを実際今気持ちをしみこんでいるところです。私の立場で、現場でこんなことが良いというアドバイスなんかは一言も言えませんが、いよいよさらに増えていくであろう認知症の対策を日常的にどうやっていくかを一生懸命に考えていくことが大切なんだと、今切実に考えさせていただきました。実際に地域の包括支援センターで認知症予防とか徘徊者を見た時の対応について年間を通して私たちに研修の機会を与えて下さっていますけれども、そういう中で我々がどういうことが出来るかというのを今日の話を聞きながら切実に感じていますのでアドバイスはできませんけれどもこれからのことを一生懸命考えていこうと 思っております。

三条市民生委員児童委員協議会 会長 長谷川勝榮 氏

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございます。実際に市民の方とか民生委員の方とか推進員の方と一緒に例えば声掛け訓練とかやっていますもんね。認知症カフェなんていうのも地域にありますけれども、ああいうところにもぜひ参加していただきたいですよね。

長谷川勝榮(協議会・民生) いかに外に出てもらうかという対策が我々の役目でもあると思いますので、そういう方々を軽減していくっていうのは我々の役目かなっていう風に思いました。

川瀬敦士 そういうところに行くのは気が引けるというかネガティブな印象っていうのはあったりするものですか?

長谷川勝榮 出たくないという人は声掛けしてもダメだっていう、そこらあたりをどうするか。朗らかな人は常にその場に行くのが楽しみにしておられますけれども、外に出ること自体が嫌だという方々も大勢いらっしゃるので、そこのあたりの手当てをどうしていったらいいのか。場所が遠いとか交通機関があったらもっと出るかもしれないとかそういう話を聞きますけれども出来る条件と出来ない条件がありますので、行政ですとか連携して具体的にどうしていくかというところが我々の役目だという風に思っております。

川瀬敦士 先生に聞いておきたいこととかありませんか。

長谷川勝榮 すごく切実な事例をいっぱい話をしていただいたのですが、こういう方々というのは実際認知症だと診断された方々の何割くらいがこういう方(被害妄想など)に属することになるのでしょうか。

川瀬裕士(川瀬・医師) 認知症の種類によって精神症状の出方は違うんですけれども、レビー小体型認知症というものですと、例えばうつ病みたいな症状だったら4割程度というデータもありますけれども、それに加えて被害妄想とか幻覚とか怒りやすさとか全部含めてどれか一個を持っているということになれば大多数の方があるっていう風に考えて良いのではないかなと。それよりメジャーなアルツハイマー型認知症だともう少し下がるんですけど、何らかの精神的な症状っていうのは半分くらいの人には出ているかなという印象です。もっと出ているのかもしれないけど表面化していないかもしれないので、不安とか小さいのも入れるとかなり多くの人にはあるっていう風には思っています。それをどの段階でうまくコントロールできるか。周りの人のケアなのか、薬なのか。ここに挙がってきた人っていうのはある程度のケアや薬の対応をしても難しかったっていう例なので、ここまでいく人はもっと減ってくるのではないでしょうか。自分がしっかりしているからこそ、家族との折り合いがつかないっていうのは結構早期の人でも多いですね。

長谷川勝榮(協議会・民生) 世間でいう繋がる時と繋がらない時があるっていうような表現しますけど。

川瀬裕士(川瀬・医師) 認知症になり始めたころが一番精神的に不安になって恐怖感に襲われるのでその頃に精神症状が出やすいので、その時に周りがどういう対応をしてあげられるかっていうのが大事になってくるんですよね。

長谷川勝榮 初期の段階でどういう手だてが出来るかによって違ってくるんだろうな、家族が気づくタイミングというか周りが気づくタイミングというかそういう時の捉え方によってその人の在り方というか先々に大きな影響があるのではないかな、どこでどう気づいてやったらいいのかなみたいなの考えてしまう。こんなことしたら危ないね、みたいな。チェックシートみたいなのはありますけどね。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ありがとうございます。そういった気づきをいろんな方、関係者来ていますので投げていっていただければという風に思います。それでは休憩に入りたいと思います。休憩明けにみなさんから感想をいただきたいと思います。

 

感想

川瀬敦士 ではみなさん一言ずつ感想をいただきたいと思います。

田巻康弘(老健B・看) 今回のこの研修で施設職員として入所している人の権利擁護は守らなくてはいけないなと思いますが、その反面、訴えだけをただ聞いているだけではダメなので、そこらへんのことを多職種とかでよく話し合って、その人がどう思っているのか、何を一番欲しているのかを探るのが大事だなと思いました。ありがとうございました。

N氏(小規模・介) いろいろな職種の方たちが支援されていまして、相談できる場がいろいろあるんだなというところがわかりました。また相談をしていきたいと思いました。ありがとうございます。

涌井利菜(小規模・介) 様々な意見を聞けてとても勉強になりました。ありがとうございました。

加藤智世(薬局・薬) 薬剤師として働いていて、お薬を飲んでもらうというゴールが明確な職種ではありますが、皆さまのお話を聞いているといろんな悩みがあるんだなと勉強させてもらいました。薬局に戻って薬局スタッフに情報共有をしたいと思います。ありがとうございました。

山寺忠之(薬局・薬) 毎回ですけど今日も勉強になりました。なかなか我々はこういう風な事例というのが出会うことは少ないかなと思いますが、やれることは服薬に関しては、飲み方のアドバイスとかどういう風にすれば飲むことが出来るか、そういう情報とかは少しは我々も役に立てるかなとは思いました。あと一つ今日は魔法の言葉を教えていただいたので、患者さんにも伝えられるかなとちょっと思いました。以上です。

安井朋(老健A・介) まず事例を見ていて、うちでも同じような事例がありますし、どこの事業所さんも同じようなことで困っているんだなという印象がありました。皆さんのお話聞けたので会社のほうに持ち帰って職員のほうとまた話をしてケアの幅を広げていけたらなと思います。今日はありがとうございました。

介護老人保健施設いっぷく2番館 介護職 安井朋 氏

山本恵美(訪看・看) 私は認知症初期集中支援チームというのがあるというのにびっくりして、良いなと思いました。なかなか施設に繋げられないというところもあって困っていたのですけれども、チームで関わっていくと理解してもらえるということがわかったのでやってみたいなと思いました。あとはご本人の想いを聞くんだけれどもその辺のどこまでが本人の想いをくみ取っていけるのがベストなのかまだ分からなくって、頑張ってみたいと思います。ありがとうございました。

力石雅博(包括・地域) 今日いろいろお話聞かせていただきまして大変勉強になりました。ありがとうございました。

中澤泰二郎(法律・弁) 今日私今のままだと単に泥棒と言われた弁護士で終わってしまいますしね。さっきお話聞いて立場の逆転があって妄想に繋がる時もあるんじゃないかというご指摘を受けて、私が思ったのが、私が保佐人としてついたことによってご本人がお金を自由に使えなくなったのでその思いが物を盗られた、誰か泥棒がいるんだ、おまえだろ、みたいなことに繋がったのかなと今思って、なるほどと思うとともにそういったご本人の思いというのをくみ取って対応しなきゃいけないんじゃないかなと思った次第です。冒頭にお話あったように厚労省の意思決定ガイドラインや日弁連とか各地の弁護士会とか家庭裁判所が一緒になって意思決定支援を考えるようになってきています。今まではこっちが合理的と思う方法にご本人を従わせる側面があったかと思いますけれども、いかにご本人の意思に添うか、それが他人からすると合理的でなくても、命の危険性がない限りどこまで添うことができるか、またそれを現実的なご本人の問題としてどういう風に折り合いをつけさせることが出来るかというところが大事であろうと思った次第です。そういった時にいろいろな関係者、ここにいらっしゃるみなさん、お医者さん含めてですね、意思決定の場に連携できるとありがたいと思っていますので引き続き一緒にやっていければと思っております。今日はどうもありがとうございました。

弥久保忠男(GH・地域) 私は新潟県の認知症介護指導者という肩書きも持っているもので、介護の方にストレスを与えるような本人目線の話が多かったので嫌だったら申し訳なかったなと思いつつ、意外と施設系の話がたくさん聞けて私も勉強になりました。三条市のこういう研修って三条市の通所系の人はなかなか来ないんだなというのが第一印象を受けて、施設系の話は今日たくさん出たのですけれども、それを家族がやれるかといわれたらかなりしんどいと思うというのが私の今日の印象で、いろいろな方法あるけれどもこれ家族がやるのか、認知症の人の意思・希望をどうくみ取るのかも大事だけど私も在宅介護者なので私の意思や希望は全部ドブに捨てて介護しているのに、この人の意思をなぜ叶えないといけないのみたいな葛藤にさいなまれることもあるよなと思いながら、ぜひ在宅向けの同じようなテーマをどこかでやっていただけると嬉しいなと思いました。

笹川里子(家族・世) いろいろな事例を聞かせていただいて、対応の仕方とか考え方とかを、ああこういう風に考えてやればいいのかなというのが、つどいとかオレンジカフェで単発にテーマ関係なしに悩んでいるとかそういうのを聞いた時に、ヒントになるのがたくさん聞けたなと思いました。ありがとうございました。個人的なことですが、うちの母もデイケアに通って4年目くらいになるんですけれども、ほんとに行きたがらなくて最初に父が怪我をして父と一緒に行ったのがきっかけですけど、4年間デイケア行ってお風呂に一回も入ったことないんですね。お風呂入っていただきたいんだけれども入ってもらえないんですよ。父は自分が不自由だったものでお風呂に入るのが楽しみで行っていたのですけれども、父が今年6月に亡くなったんですけど、行きたがらないかなと思ったらでもまた今ちゃんと休まないで行っていて、いろいろ聞いてみるとそこでちょっとお買い物ができるみたいで、パンとか安いお菓子とか。うちの弟と2人で暮らしているんですけれども弟が「今日何々買ってきてね」と言うと「あるかどうかわからないけど」って言いながらお金をもらって買ってきているみたいです。意思や希望というお話でしたけど、結局私たちが「あー嫌なんだろうな」とか「嫌だ」って言うのを鵜呑みにしていたんだなと思って少し安心しました。ありがとうございました。

安中希美香(デイサ・介) 私今日初めて認魂研修会参加させていただいたんですけれども、いろんな各施設のご利用者様の対応の仕方について自分はデイサービスなので1日がお風呂、お昼、レク、送迎みたいな感じで1日が目まぐるしいんですけど、帰る前までの利用者様の対応の仕方とか悩んでいる部分は多くあって、物盗られ妄想も含めいろいろ内容は全く一緒ではないんですがどういう対応をしたらいいかという部分とか傾聴して利用者様の意向をまず聞いて活用できる対応策は実際に明日以降試してみれたらなと思いました。ありがとうございました。

田上町デイサービスセンター康養園 介護職 安中希美香 氏

曽根美賀子(デイサ・介) 私も各施設の皆さまの様々な工夫した対応を聞くことができてとても勉強になりました。私もデイサービスなんですけれども、これから冬になって夕方暗くなっていくとますます帰宅願望が強くなる方がいらっしゃってその都度職員皆で同じ対応ができるようにどうしたらいいか話合いながら対応しているんですけれども、それでも全くできないという方がいらっしゃいましたが、また初心に帰ってもっともっと理解できるように利用者さんとの対話を繰り返していきたいなと思いました。ありがとうございました。   

吉田茜(GH・介) ありがとうございました。私がいるグループホームでのお客様にも当てはまるような事例ばかりでとても参考になりました。入居のお客様なので私自身夜勤をすることが週に1回くらいありますが、そういった1人対応の時にご自分でトイレいけない方だとか自分でお部屋に入られない方の誘導とかケアをしている中でそういった帰宅願望とか被害妄想というのがみられて、そういった時に余裕をもって認知症ケアを一番に考えて本人がどういう風にどういうことをしたいのか伝えたいのかというのをくみ取るようにしていくのが今後の課題だと感じました。ありがとうございました。

田辺佑奈(GH・介) 私もグループホームで勤めさせてもらっているんですけれども、皆さんと同じような困りごとや悩みがあって、その中で看護師さんや薬剤師さん、いろんな職種の方と意見や対応を聞けてそういう風な見方もあるんだなと勉強になりましたし、お客様の本当に意図している、言いたいこと、思っていることをくみ取るというのは簡単なことではないというか。私だけで介護しているわけではないので他の職員に変わったりとか相談したりとか、ご家族に話を聞くとかそういう柔軟な対応が大切だなと思いました。勉強させていただいてありがとうございます。

原島哲志(川瀬・介) 今日はありがとうございました。いろいろ困りごととか本人が非常に困っていることもあると思いますので、その問題解決をどんぴしゃで我々が出来れば一番いいんでしょうけど、本人だけではなく本人とスタッフとのお互い良い気持ちで問題解決できれば一番理想かなと思っています。ストレスが多い仕事だと思っていますので、そこを一番考えながら真意をくみ取れるような対応をしていけたらいいなと思います。ありがとうございました。

布施良友(川瀬・介) 普段デイケアで勤務しているんですが、来られた方がその日帰る時一日楽しかったと言ってもらって帰れるように介護職として接していますが、先程弥久保さんが言っていましたけど家に帰ってお家の人が今度外行ってその時ばかり楽しくしている、家族は辛いんだという思いも少なからずあると思うので、そういったところも今後の業務の目線を変えて接していきたいと思います。どうもありがとうございました。

川瀬神経内科クリニック 介護職 布施良友 氏

高橋芳雄(川瀬・介) 本日はありがとうございました。今日のテーマが「認知症の人の意思・希望をどうくみ取るか」ということで認知症に限らず現状に不安や不満がある方の言葉はどうしても攻撃的になってしまったり周りの人が困るような言葉になるものだと思います。ですので、そういった方の不安・不満をまず取り除くための努力をしなければいけないし、現状に多少の不便はあるけれども不安はないというような状況・環境を作ってあげてその上で出てきたご本人の希望・意思、そちらに対しては全力で叶えて取り組んでいけるような介護をしたいと思いました。大変勉強になりました。本日はありがとうございました。

庄司俊彦(川瀬・介) 認知症の人の意思・希望を尊重して、あんまり尊重ばかりしていると僕らの仕事がなくなっちゃうというか、尊重して何々しませんでした、なんていう都合のいい言葉にしないように認知症の人の訴えの真意をわかることは出来ないのかもしれないけど少しでも何かを気づけるように頑張っていきたいなと思います。1人今行きたくないと言って毎朝連れてくるのが大変な人がいて諦めてしまうこともあるんですけれども、また本人とご家族の為にももっと頑張っていきたいなと思います。ありがとうございました。

塚原美穂(川瀬・CM) 本日はありがとうございました。私もケアマネージャーという立場で皆さんのお話しを聞いていたんですけれども、このテーマってすごくケアマネの中でもなかなか難しいテーマだよねというのはよく聞く話で、ほんと難しいなかなか答えの出ないテーマなのかなとは思います。認知症ってやっぱり誰しもなりたくはないけどなる可能性を秘めている病気だと思いますので、先生が一番最初におっしゃっていたように意思がはっきりしている内に希望を引き出せるように、そこらへんもまたケアマネージャーのアセスメント力になるのかなと思いますのでその辺しっかり私も皆さんの考えとか希望を引き出せるようなスキルを磨いていけたらなと思いました。ありがとうございました。

川瀬神経内科クリニック 介護支援専門員 塚原美穂 氏

坂井美和子(川瀬・看) 今日はありがとうございました。認知症初期集中支援チームで先日も妻から夫がサービスを拒否しているということで包括に相談があってチームに挙がったケースがあったんですけれども、本人に思いや希望を聞くとこのまま安らかに過ごしたいということだったんです。多職種でアセスメントしたら閉塞性肺疾患がだいぶ悪くて動くとなんぎくてということが分かって家族の思いだけに振り回されるだけじゃなくって現状を把握すること、アセスメントがすごく大事だなと思ったケースだったんですけれども、ご本人の思いをいかに聞き取って支援していくことがすごく大事だと思いますので今日のことも参考にさせていただきながらやっていきたいと思います。今日はありがとうございました。

I氏(特養・介) まず思ったのがどの事業所さんも似たようなことで悩んでいるんだなということを率直に思いました。それで介護職だけ、現場の人間だけで解決するのではなくて他部署、看護なり相談員やケアマネをいい意味で巻き込みながらその人の対応策を考えていければより良いケアが出来るのではないかなと改めて思いました。本日はありがとうございました。

西村朋美(SS・看) 今日は皆様のいろいろな体験とか解決方法を聞くことができてとても勉強になりました。認知症の方の意思を知るためには会話を通じたりとかその人の元々の生活背景を知ったりということがすごく大事だなという風に思いました。ただその人の思いを知っても全ての意思を鵜呑みにして対応していくというのは絶対に正解だとは限らないかなとも思うのでその辺のことは個別性に合わせた対応で今後もしっかりケアをしていきたいなと思いました。ありがとうございました。

久保田明美(SS・看) 今日初めて認知症ケアについて研修に参加させていただき、皆様からたくさん教えて頂いてありがとうございました。認知症に関してどんな病気なんだろうとかどういう風に対応したらいいんだろうって悩んでいたので今日参加できて認知症の方に対してこうしたらいいというアドバイスを持ち、明日からまた新しい気持ちで業務出来そうな気がします。業務に追われずに利用者さん、認知症の方の意思をくみ取る大切さを教えていただきました。ありがとうございました。

長谷川勝榮(協議会・民生) 私もこの会に初めて参加させていただきました。先ほど申し上げましたように三条市には192名の民生委員がおられますので本日介護・看護の現場におられる方々の語っていただいた事案というものをしっかりと受け止めて、こういう場面があるんですというものを共有していくというのがまず私の役目かなという風に改めて思いました。このような困難な場面で働いている方が大勢いらっしゃるということも伝えていきたいということを強く感じたところです。認知症に対する接し方、優しさと厳しさの接点というのがどの辺にあるんだろうなという風に私自身も感じたところでもあります。そしてもう一つ私たちの大事な役目は、認知症に対してはまた家族に認知症がいるんだけれどもっていう社会で認め合うという、そういう部分に対してはまだ閉鎖的なものがあるかなという風に思っております。もっと開かれた社会の中でお互いにそういうものを共有し合って支え合っていく、そういう地域社会というあり方も我々が今後大切にしていかなければならない。要するにこういう方々を重症化させないうちになんとかできないかというような思いを強く持ちましたので我々の役目としてはそういう予防、それからこういう現場があることを認識しながら今後の地域社会の在り方というものをみんなと一緒に考えていきたいという風に思いました。今日は勉強させていただきました。ありがとうございました。

川瀬裕士(川瀬・医師) 毎日大勢の認知症の方を外来で診させてもらって、付き添いのご家族の話を聞いて、というのをずっとやっているんですけど、この会は毎回やるごとに一度一つのことを深く考える機会が自分自身にも与えられて、12回やってきて13回目なんですけど、今日も皆さんの熱い思い、いろんなことを感じることができました。自分自身もいろいろ感じることがあったんですけれども、今回認知症の方の意思・希望をどうくみ取るかというのをテーマに決めた時に、僕としては先ほど中澤先生からもあったけれども認知症になる前に自分が将来どう暮らしたいのか、何を優先順位として上位に上げて老後を暮らしていきたいのか、そういう要望をどういう風に拾っておくか、あるいは最初にそれを聞いていなかった人の意思をどうやってくみ取れるのかというところに話は行くのかなと思っていたのですけれども、具体的な話が多くて、実際現場ではこういうことなのかなと感じました。今回のテーマに関しては僕の中ではこの会が始まる前から一つ感じていることがあって、例えば認知症が進んでもずっとこの家で暮らしていきたいだとか、介護サービスというのは基本的には私は絶対に嫌なんですと、これが私のプライドなので嫌なんですということを例えば言っている人がいて、それを周りにいるケアマネさんとかご家族が認知症の人の意思・希望をくみ取ることはすごい大事なことなんだよとどこかからか聞いてきて、その言葉に縛られてしまってずっとその意思が本人の意思であり続ける、本意であり続けるという勘違いをしてしまうことがないようにしないといけない。本人が言った言葉が、一回言った言葉が独り歩きしてしまってこの人はこれは「嫌だ」って一度言った、それがその人のためだと思って、通行手形のようにこの人はこういう希望がありますってやっていくんだけど、それはもしかしたら変わっていくものかもしれない。最初はデイサービスなんか行きたくないって言っていたけど近所の人がみんな行き始めて、「楽しい楽しい」って言って、心の中では自分も行きたくなってきたけど、最初に嫌だって言っちゃっているから、隣にいる自分の心を分かっているという人が、「この人はね、デイサービスなんか絶対に行きたくないって言っていた人なので誘わないでください。私は知っています」なんて言って。でも心の中ではもうそろそろ行きたいんだけども、もう一回声掛けてくれないかなっていうような雰囲気を感じることも外来の中ではあるんですよね。心の中では前よりちょっと変わってきているっていうことがあるから、その意思・希望を最初本人が発した言葉にとらわれずに変化していくものだっていう風に見ていてほしい。それともう一つは、なぜこういう認知症の人の意思や希望をくみ上げることをフォーカスしないといけないかというと、例えば水をもっと飲みたいけどこれ以上はダメ、薬を飲みたくないと言うけど本来は飲ませないといけない、ご飯食べてないからもう一回食べたいって言うけど糖尿病もあるし体重が増えると困るからこれ以上ダメだっていう、一つ一つのことを何度も何度もやっていると、本人が訴えるものに対して認知症が進んで来れば進んで来るほど本人が言う事って子供のわがままみたいに感じられて、間違った事を言っている、出来ない・無理なことを言っているっていう風に。「ショートステイにいる間に帰りたい」と言う。帰っても誰も見てくれる人がいないし、時には命も危ないのだからショートステイにいないといけない。だから答えは正しいんですよ。やっていることは正しいんですよ。何か言ってくる、欲求を出してくる人に対してその人の意思にそのまま添えない状況があるから無理ですよって答えている。それは正しいんですけど、いつもいつもそれをやっていると、だんだんそれがオートマチック化して、この人は認知症で間違ったこと言う人、私は全ての状況を理解して正しい答えを持っている人っていう立場で見ちゃってる可能性がある。だから先程決めつけっていう言葉が出てしまったんですけど、本人が言う言葉に一回は寄り添う気持ちを心のどこかに持っていてくださいよと。介護する側がやはり正しい答えを持っている事が圧倒的に多いんですよね。本人の財産を守る、健康を維持するためには正しい答えを持っているのはだいたい介護者側になってしまうんですけれども、いつも先生と生徒という関係だけではなくて一回はなんとか寄り添う。物盗られ妄想はよくあるけど盗られましたと言って、また物盗られ妄想だ、どう対処しよう、どうやってこの人をおさえようと思うけど十回のうち一回くらいは本当に盗られたってことがあるかもしれないから、そこは一回でもいいからそっちサイドに立って、誰が盗ったんだろうねっていう気持ちで入っていくってそういう気持ちを忘れるなよっていう意味で認知症の人の意思・希望をくみ取るということがテーマに挙がるのかなっていう風に今日聞いていて感じました。非常に勉強になりました。ありがとうございました。

川瀬敦士(川瀬・リハ) ではこれで会のほう終わりたいと思います。みなさんどうもありがとうございました。

 

参考書籍

「認知症 よい対応・わるい対応」 浦上克哉 日本評論社 2010

もの盗られ妄想

・患者さんにとって妄想は確信。言葉による説得は効果がない。

・否定や訂正せず、訴えを聞き同じ感情を共有する。

・一緒に探すふりをして「おやつを食べてから、もう一度探しましょう」と関心を別の方向へ向かわせる。
又は、本人に発見してもらい喜びを分かちあう。

 

「認知症の9大法則 50症状と対応策」 杉山孝博 法研 2013

もの盗られ妄想

・いつも一緒に探してくれている人に対して、なんとなく自分のもの忘れを常に知られているように感じ、
嫌な印象が強まることがある。時には別の人に探してもらう。

・「すみません。さっき集金の人が来たので、お母さんの財布から借りて払いました」と謝って、
本人が盗まれたと言っている金額を返す演技をする。

 

「驚きの『和光病院式認知症ケア』実践ハンドブック」 和光病院看護部 小学館 2014

もの盗られ妄想

・まず、訴えを肯定する。その上で、「それは○○が預かっていますよ」「探しておきますね」など
さらに安心してもらえるような応答をする。

・「息子さんが持って帰りましたよ」「今度持ってきてもらいましょう」など、ここにはないことを伝える。

 

「新しい認知症ケア介護編」

食べたばかりなのに食事はまだかと言う

・受け入れる

いったん受け入れてから、本当の要望を推察していく

・事実を告げる

信頼関係があれば、正直に言ったほうがいい場合もある

ワンポイントアドバイス

・食べた食器を片づけない

・また食事を出してあげる

・次の食事まで一緒にすごす

 

 「認知症 よい対応・わるい対応」 浦上克哉 日本評論社 2010

(食べたことを忘れる人には)関心をほかにそらして食事の問題は忘れてもらうことが大切。
あめやするめ、おやつ用の昆布など長く口の中に残るものを用意する。